【9月26日】今日のおかねニュース:コアCPI鈍化の要因

なぜ8月のコアCPIは鈍化したのか?金利以外の要因も含めた総まとめ

2025年8月のコアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)は、前年同月比で+2.7%と、7月の+3.1%から鈍化しました。これは9か月ぶりに3%を下回る水準です。ここではまず、CPIの種類とコアCPIの位置づけを整理し、そのうえで鈍化要因を解説します。

CPI・コアCPI・コアコアCPIの違い

  • 総合CPI:消費者が購入するすべての財・サービスの価格動向を反映した物価指数。生鮮食品やエネルギーなど変動が激しい項目も含まれ、生活実感に最も近い。
  • コアCPI:総合CPIから生鮮食品を除いたもの。天候による価格変動が大きい生鮮食品を外すことで、物価の基調的な動きを把握しやすくなる。日本銀行が金融政策判断で特に重視。
  • コアコアCPI:生鮮食品とエネルギー(電気・ガス・ガソリンなど)を除いたもの。海外要因に左右されやすいエネルギー価格を除外するため、内需による物価動向をより的確に見ることができる。

1. 金利上昇の抑制効果(理論的な背景)

金利が上がると資金調達コストが高まり、企業の投資や消費者の借入が抑制される可能性があります。また、金利上昇はインフレ期待を抑える効果もあります。これらが相乗して、中長期的には物価上昇率を抑制する方向に働きやすいという理論的メカニズムがあります。

2. 鈍化を促した主な構成要因

  • 公共料金の下落・補助再開:電気・ガス料金が政府補助や前年高騰の反動で大幅に下落し、物価全体を押し下げました。
  • 食品(生鮮除く)の伸び鈍化:これまで物価を押し上げていた食品分野の上昇率がやや落ち着きを見せています。
  • 輸入物価の下落圧力:輸入品価格の下落が消費財・中間財価格に波及し、物価全体を抑制しました。
  • ベース効果:前年に物価が大きく上がっていたため、比較上、伸びが出にくくなる統計上の効果もあります。

3. 限界と時差も見逃せない

ただし、金利の抑制作用が物価に反映されるには通常数か月〜1年程度のタイムラグがあります。さらに、食品やサービスなど一部の項目は金利政策の影響を受けにくいため、金利だけで説明するのは不十分です。

まとめ:鈍化は“複数要因の重なり”によるもの

8月のコアCPI鈍化は、金利上昇の効果も一因ではあるものの、主な理由は公共料金の下落、食品価格の伸び鈍化、輸入物価低下、ベース効果などの複数要因の組み合わせです。CPIの種類ごとの特徴を理解しておくと、ニュースで「コアCPIが鈍化」と報じられたときに、何が背景にあるのかをより正しく読み解けるでしょう。

情報源・参考:Reuters「Japan’s core inflation slows in August, stays above BOJ target」ほか報道

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