日銀、政策金利を据え置き+ETF/REITの段階的売却へ
日本銀行は短期政策金利を0.5%で据え置きつつ、これまでの緩和策で積み上がった保有資産の正常化に踏み出します。具体的にはETFを年約3,300億円、REITを年約50億円のペースで段階的に売却する方針。超緩和からの脱却を市場に示す一方、売却は「ゆっくり・予見可能」に進めるとして、急激なマーケットの撹乱を避ける設計です(出典:Reuters)。
株式市場の初期反応
BOJのETF売却方針発表を受けて、短期的には株式市場で利益確定の動きが出ています。特に輸出企業にとっては今後の為替リスクが課題とされ、日経平均などの指数はやや下落する場面も見られました。アナリストは、この方針転換が銀行業界など利ざやを稼ぎやすい業種にはプラスに働く可能性があると見ています。(出典: Financial Times)
銀行業界にプラスと見られる理由
アナリストが銀行業界に注目するのは、今回の方針転換が収益改善の追い風になる可能性があるためです。主な理由は以下のとおりです。
- 利ざや拡大余地: 金利の緩やかな上昇局面では、貸出金利が先に上がり、預金金利の上げは遅れがち。結果として利ざやが広がり、銀行の基本収益が改善。
- 金融正常化のシグナル: ETF/REIT売却は「超緩和依存からの離陸」を示唆。将来の追加利上げ余地が意識され、銀行の中期収益期待が高まりやすい。
- 資金の選別と回帰: 市場の需給調整を契機に投資資金が銀行株など金利感応度の高い業種へ流れやすい。
- 与信需要の多様化: 金利・価格の正常化は企業の再編・投資を促し、運転資金・設備資金などの融資需要を押し上げる可能性。
まとめ
日銀の「据え置き+資産縮小」は、短期的には株式市場に重しとなる一方、中期的には銀行業界に追い風をもたらす政策です。今後は売却のスピードや透明性、そして金利・為替・物価のバランスが市場の評価を左右するでしょう。家計はローン金利の動きに、投資家は業種間の選別に注目が必要です。

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